fugitive from justice
~正義からの逃亡者~
第4話

作者 管理人シン

「あら、アリシアさん、デートですか?」
「やぁねぇ、何言ってんの、仕事よ、仕事♪」

 討伐隊の同僚に声をかけられたアリシアは、きん然とした様子で歩いていた。
 もちろん背後には、ちょっと白くなったカズヤを従えて。
 そんな彼らの行き先は……。

「何か知りたい情報はあるかい?」

 情報屋である。気前の良さそうなおやじがカウンターの中に立っていた。

「んだよ、結局ココか……別に俺が居る必要も……」
「何か文句あるのかしら?」
「痛い痛い痛い!!」

 悪態をつくカズヤの足は、隣に立っている少女の足によって踏まれていた。

「イノセントのいる場所、分かるかしら?」

 アリシアが上品そうな笑顔を浮かべて、おやじに尋ねた。営業スマイルはしっかりと会得しているのである。

「んー、ここんとこ、イノセント目当ての客が多いな……」

 おやじが手元にある機械のような物を操作しながら、ぼやく様に言った。

「あらあら、同業者に取られちゃうわね」

 ちっともそう思ってないような言い方だった。実際、アリシアの討伐隊員としての名は、かなり広まっていた。それは、彼女の人望、人柄はもとより、その実力が証明している。

「いや……それが、討伐隊の連中じゃないんだなぁ、コレが」
「何、それじゃあ、一般人がいきなり賞金首狙ってるってこと!? 命知らずというか、身の程知らずというか……」

 驚愕に顔を引きつらせるアリシア。

「その一般人は、何人ぐらいココに来てるんだ?」

 カズヤが口を挟む。

「そうだなぁ、1日10人ぐらいか? その連中が日に何度も来るから、おかげさまで大盛況だがな」

 機械を操作する手を休め、おやじは少し考えるようにしてから言った。

「10人……多すぎるわね……討伐隊も甘く見られたものね」
「どうせ返り討ちだろうな……」

 アリシアは、あきれ返りながら嘆息を漏らした。カズヤも似たような意見らしい。特に反論することもないだろう。

「ぇーと、イノセントは……何処にも見あたらないな。見つからなかったから、金はいらねぇよ。」

「んじゃぁ、どうするんだ?」

 情報屋を後にして、行く当てのなくなった2人は、道を歩きながら、今後の予定について話し合っていた。

「洞窟でも行こ? ヴリトラと戦いましょ」
「……軽く言うなよ……ドラゴンだけでお腹一杯だ」

 ヴリトラ、とは「障碍神」と呼ばれ、この神の実態は、命の源である水を塞き止める、蛇の悪魔であるらしい。凄まじいまでの攻撃力、凶悪性で、他を滅ぼすことのみが至上の喜びであるという。
 要するに、滅茶苦茶に強いモンスターである。さらに、その洞窟内には、強力なドラゴンがうようよしており、それらの強さは、手練れの冒険者でも手を焼くほどである。
 この傍若無人な少女の思考は、常に吹っ飛んでいる。

「どうせ暇でしょ!?」
「あんな化け物と戦えるか!!」
「私の言うことがきけないの!? 折角ゾンビ治したのに!」
「えぇい、話が別だ! 却下却下!!」

 洞窟へ行くのを渋るカズヤに、凄まじい剣幕で食って掛かるアリシア。一触即発である。

「何よ、やる気!?」
「ぉー、やったらぁ!!」

 既に通行人の注目を浴びまくりである。叩きつけられた挑戦状を、突っぱねるワケにはいかない。

「それじゃ、アルテナでバトルね♪」
「は?」

 急ににっこりと微笑むアリシア。毒気を抜かれたように呆然とするカズヤ。
 事は全て、彼女の思うままに動くのだ。

 アルテナバトルとは、「アルテナの大地」と呼ばれる特殊なフィールドで、プレイヤー同士が戦闘を行うことである。言わば模擬戦である。
 このフィールドでは、モンスターが出現することは無く、仮に力尽きたとしてもスタート地点へ戻されるだけである。このため、プレイヤー同士の交流場として、非常に利用価値が高い。

「ハメられた……」

 カズヤは、がっくりとうな垂れた。

あとがき
うわ、マジで短い!(ぉ
段々話が破綻してきますよ、多分(ぉぃ


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