自室のベッドの上でゴロゴロしながら客観的に見ればこのセリフはかなりジジくさいな、とか思った。
今日は朝から鈴凛の買い物につき合わされ(もちろん資金援助も)昼間は衛とランニングをした。おまけに夕食の時には白雪の新作料理(羊の脳みそのカレー風煮)を食べさせられた。……って妹に振り回されっぱなしだな。
寝る前に酒でもあおるか……。まだ19だけど。(未成年は飲んじゃダメ☆)
さて、飲むかと思ったところにノックがした。
「お兄様♪あ・け・て♪」
「咲耶か、待ってろ」
いいところだったんだがな、と残念に思いつつも部屋の鍵を開ける。
そこにはパジャマ姿の咲耶がいた。
「お兄様、一緒にね・ま・しょ☆」
「じゃ、おやすみ、咲耶」
その言葉を聞き終わるか終わらないかぐらいの速さで扉を閉め、鍵をかける。
「あー!!お兄様!開けてよ!!」
バンバンと扉を叩いているが無視。
よく、妹たちに「一緒に寝ようよ」とか言われるが絶対にしないと決めている。雛子や亞里亞ならともかく、春歌や可憐、咲耶などと一緒に寝るのは襲われるかもしれないので非常にまずい。俺は自分を理性の結晶だと思っているので俺が襲う可能性は0!と確信している。何より一緒に寝てしまうと妹たちに何をされるか分からない……。
「さっさと自分の部屋で寝……」
「はああぁぁぁぁぁぁ……」
ものすごい気合をいれる咲耶。
「!!マズイ!」
「死天滅殺拳!!」
ズゴォ!!
危険と判断し、とっさに飛びのく。が、その必要は無かった。扉は吹き飛ぶというよりむしろ
扉、蒸発。
「さあ!お兄様!一緒にね……」
パタッ
「咲耶!?」
突然咲耶が倒れてしまった。一体何が?
「フフ……、無理もないよ、兄くん……」
「あ、千影」
「あんな技使ったんだからね……フフ……」
「まさか、お前が教えたのか……」
「フフフ、これで今日はこの部屋に扉が無いから自由に入れるよ……」
「謀ったな!!シャア!!」
「兄くんもくらいたいかい?私の方が数段威力あるよ……」
やばい!右手が光り輝きだした……。額に筋浮いてるし。
「ごめんなさい。勘弁してください……」
「フフ、じゃあ咲耶くんは部屋に運んでおくよ……よく眠っている。」
はあ、今日で俺も終わりかな?(何が?
部屋を出ていくときに千影がささやくように言った。
「安心してくれ、兄くん。夜、襲ったりはしないから……。兄くんが皆を大切に思ってるのは知っているからね……」
「千影……」
さて、酒でも飲むか……。
かなりの量を飲んだ。……はず。
翌日 午前5時
うっ!頭痛え……。飲んでていつの間にか寝たようだ……。ちゃんとベッドのなかに入っているだけマシか……。
ん?何故コップが2つ?誰かと酒なんて飲んだっけ……??
ゴソッ
ん?俺以外にベッドに入ってる?バニラ(可憐の猫)でも入ってきたか?扉開いてるというより無いし。どれ、なでてみよう……。
「エヘヘ……」
ん?なでられたリアクションは猫のような違うような……。もう一回なでてみよう。
「お兄ちゃま……」
お、お兄ちゃま!!??てことはまさか……。
「くー……」
そこには花穂が気持ちよさそうに眠っていた。
どうして……?う~ん……昨日のことは全然覚えてないしな……。
「お兄ちゃまぁ……」
「!!?」
寝言か……?声出しそうになってしまった。
「それにしても……かわいいな」
時おり、寝言しながら笑う姿がとても愛らしい……ってイカンイカン!!普通にかわいいとつぶやいてしまった。咲耶とかに知れたら大変だな……。このすきに部屋に運んでいくか……四葉とかに見つかったら大変だ……。は、まさか!!
花穂を起こさないようにそっとベッドから降り、慎重にクローゼットを開ける。
「すぅ……」
「!!案の定だな……」
四葉もこんなところで寝てたのか……。花穂を運んだ後に四葉も部屋まで運ぶか……。
ベッドに戻りそっと花穂をいわゆる『お姫様抱っこ』で抱き上げる。
この時間なら誰も起きてないよな……。でももしかしたら誰かが起きてくるかもしれない。急いでいこう……。
「ふう、どうにか花穂の部屋まで起こさずに運んできたぞ……あとは四葉か……」
急いで部屋に戻らないと……。
「ふあ?兄チャマ……なんで四葉の部屋にいるデスか?」
自分の部屋に戻ると四葉がもう起きていた……。しかも寝ぼけてる……。
「そういう事デスか!兄チャマは四葉と一緒に寝たいんデスね!しょうがないデスね。一緒に寝てあげるデス!」
「いや、ここは僕の部屋で……」
「さあ、一緒に寝るデス!」
「だからね……」
無理矢理引っ張られていく……。
「四葉~寝ぼけてるのはお前だ~……」
聞いちゃいないし。むなしい……。
「さっ、寝るデス!!」
ベッドに飛び込む四葉。ベッドに顔をうずめ、心なしか嬉しそうにしている。
「あのさ……」
「兄チャマは四葉と寝るのは嫌デスか?」
ベッドに入り込みながらいう四葉。
そんな潤ませた目で上目遣いをしないでくれ……。
「分かったよ……」
四葉なら襲いはしまい……。というわけで、俺もベッドに入り込む。
「エヘヘ、兄チャマ、あったかいデス♪」
「そうか?四葉も温かいぞ」
結局一緒に寝ているが……明日大丈夫かな……。
夜明けも近づくなか、寝返りを打ち、四葉を見る。もう寝てしまったようだ。
いつもウルサイぐらい元気だけどこうやって見るとごくごく普通の女の子って感じだ……。
そんなことを思いながら四葉の髪をなでる。
「クフフゥ……やっぱり兄チャマは四葉が一番なんデスね!」
「な!起きてたのか!?」
「エヘヘ……」
「オ、オイ……」
いきなり抱きついてくる四葉。普通ならかなりヤバイけど理性がかなり強いと自負しているだけあって理性が勝った。流石にビビッたけど。
30分後
結局四葉は俺に抱きついたまま眠ってしまった。四葉が寝たら部屋に返そうと思ったが無理なようだ。仕方がないので俺もこのまま眠ることにした。そう決めた途端に意識が眠りに落ちていった…………。
朝
腹に何かがのしかかっている感覚がして目が覚めた。すると俺の腹の上に四葉が赤い顔をしてチョコンと乗っていた。
「な、何やってるんだ……」
「チェ、チェキ!?兄チャマ起きてたんデスか!?」
「お前がそこにいるから目が覚めたんだ」
「…………(///)」
な、なんだ!?さらに顔が真っ赤になったぞ。
「にしても四葉、顔が真っ赤だぞ?熱でもあるのか?」
「ち、ちちちちち違うデスよ!!」
明らかに動揺したな……。探ってやるか……。
「なんか隠してないか?さっきから様子が変だぞ」
「そ、そそそそそそんなコトは無いですよ」
『ですよ』のイントネーションがおかしくなっているし……。
「ホントか~?」
「ホントデスヨアニチャマ」
棒読みになってますよ。なんかこれ以上詮索するのがかわいそうになってきた……。勘弁してやるか。
「ならいいんだが……」
「お兄様!朝……よ……」
「おう、咲耶……っ!!」
「あ、姉チャマ……」
疑惑を頭の中から振り払った瞬間に咲耶が部屋に入ってきた。…………マズイ!!今自分が置かれている状況を忘れていた……。四葉が俺の部屋にいること自体はさほど珍しくはない。だがこの状況はダメだ……ベッドの上で俺に四葉が乗ってるところはどう解釈しても……。俺に都合のよい展開になるはずはない……。
「さ、咲耶、おおおおおおおお落ち着けコレは……」
「そそそそそそそそうデスよ、咲耶姉チャマ」
「あのパンチをお見舞いしてあげる☆」
「チェ、チェ~キ~~!!」
「勘弁してくれ!!」
開口一番、信じられないスピードで咲耶の横を通り抜け、逃げる四葉。かなり遅れて続く俺。なんちゅう足だ……。
「ま、待ちなさい~~~!!」
その日一日僕と四葉は花穂以外の妹に追い回されていた……。
「エヘヘ、お兄ちゃまのベッド、いい匂いがした♪暖かかったな~……」
その日一日中花穂は陽と一緒に寝たことを思い出していた。
陽の独り言
「なんで、花穂の頭をなでたときに人間とすら分からなかったんだろう……」
なんとなくむなしくなり遠い目をする。
あとがき
こんにちは、シンです。陽の性格変わっている様な気がします。まあ僕の都合でいろいろと性格などが変わってしまうかもしれません(おい。
感想、非難、不自然な点のご指摘、文句などがありましたらメールを下さい。もらえたら最高にうれしくて成層圏あたりまでぶっ飛んでしまいます(笑)。最後にここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。
また逢えることを楽しみに……。